第3章 嫉妬【進撃の巨人/リヴァイ】
その日、は思い出した。恋人のリヴァイがとても嫉妬深く、の全てを支配していた事を。
二〇二〇年一二月一八日金曜日。年末に向けて仕事が立て込み、お互いが会う時間が無かった。それでもはやらねばならない事がある。帰る前にリヴァイにLINEで“遅くなる”と送り、用事を済ませに行こうとした。
なのに、こういう時に限って、新卒で入ってきたエレンが重大なミスをしてしまい帰るに帰れなくなってしまった。ミスのフォローをし終えたのは二三時過ぎ。運が悪い事に、上司のリヴァイが外回りからの直帰で居なかったのだ。
途中で用事を済ませる事が出来たのは不幸中の幸い。
だが、厄介な事は続いた。
「こんなに遅くなっちゃったのでせめて家まで送らせてください!」
「迎えを呼ぶから大丈夫だよ」
「じゃあ、迎えが来るまで一緒に居ます!」
と、頑なに離れてくれなかったのだ。仕方なくリヴァイに事情を説明して迎えに来てもらう事にした。
そうして待つこと二〇分。目の前にリヴァイの車が来てエレンに別れを告げた瞬間。エレンがの腕を掴んだのだ。無論、リヴァイはその光景を見ていた。
「……何?」
リヴァイと早く合流したかったのに、邪魔されての目つきが細くなる。腕を振りほどこうとするが、男女の力の差は歴然で、振りほどけない。
「行かないでください」
「……まさか、わざとあんなミスしたの?」
「ええ。二人の時間が欲しかったので」
「最低」
右手に持ったままだったスマホの通話ボタンを押す。掛けた相手はもちろんリヴァイ。
「ごめん。助けて」
それだけ言って通話を切った。それ以上話しても切られると思ったのだ。案の定エレンの手がスマホへと伸びた。が、時は既に遅し。