第2章 日課。
「せいせきぃー!ファイ!オー!」
聖蹟サッカー部1年の声が響き渡る。
先輩たちから何かと言われ、外周をするのが1年の日課だ。
俺はマネージャーだから走らないが、必ずみんなが走り終えるまでストップウォッチでタイムを計る。
それが俺の日課だ。
『ペース落ちてきてる。最後ファイトー』
「うおぉぉー!」
俺の声にみんなは雄叫びを上げ、ラストスパートを切る。
最後はスタミナを使い切ったものも多く、よろよろと校門へと帰ってきた。
『お疲れ様。ほら、タオルとドリンク』
俺は疲れて動けない奴らに、次々とタオルとドリンクを手渡していく。
受け取った奴らは、わりぃなと礼を言ってゴクゴクとドリンクを飲み、生き返るー!と叫んでいた。
「つばき、いつもありがとう」
『いーえ。俺はこのくらいしか出来ないし。みんなにはもっと頑張って全国行ってもらわないといけないからな!』
「そうだな!でもまずはレギュラーにならねぇと!」
「それが一番厳しいよな。あの人たち化け物級に上手いからなー」
「誰が化け物だ。このタワケどもが!」
急に降ってきた低い声に、俺たちはびくっと体を固まらせる。
中には、ヒイィッ!と悲鳴を上げるものもいた。
君下先輩の怒りマークがまた増えている。
「外周終わったならさっさとグラウンドに戻って来い!」
「た、ただいま戻りまーすっ!!」
バタバタと砂煙を上げて、一瞬でこの場を去る1年たち。
『あーあ。置いてかれた。君下先輩が脅すからですよ』
「あー?勝手にびびって逃げたんだろうが!軟弱も早くグラウンドに行け」
『はーい。って、また軟弱って言いましたね!俺は軟弱じゃないですよ。激しい運動が少ししか出来ないだけです!』
「それが軟弱って言ってんだよ。また倒れて担がれたいか?」
にやりと君下先輩が笑った。うわ、笑い方怖い。
それに、以前つくしの練習に付き合って倒れた事、まだ根に持ってたか。
『あ、あの時は大変お世話になりました』
「ふん。そんな事はいい。早くグラウンドに行くぞ。マネージャーの仕事放棄するつもりか」
そう言ってグラウンドに歩き出す君下先輩のあとを、俺は慌てて追いかける。
『待ってくださいよー!俺、軟弱なんですよー』
「てめぇ、自分で軟弱じゃないって言ってただろーが!」
あははと笑いながら先輩と戯れる、これも俺の日課だ。
