第31章 それぞれの闘い
祈(杏さま…。貴方ほどではないかもしれませんが、私も鬼は憎いです。私の母を殺した仇の鬼は助けてくれた鬼殺隊士が斬ってくれましたが、どうしても許せない…。)
音(私の親友を殺した鬼とは違う鬼だとはわかってます…。でも、どうしても憎いのです。)
震える手をぎゅっ、と握りしめる。
祈(杏さま…。)
音(私たちは…、)
その2人の様子に、今まで黙って見ていた珠世が恐る恐ると言った様子で口を開いた。
珠「あの…、今夜だけ、お願いできませんか??」
その声に俯いていた祈里と音羽は顔を上げる。
珠「私は無惨が死ねば死にます。」
祈「ぇ…??」
珠世の突然の告白に祈里は小さな声を漏らし、音羽も目を見開く。
音「じゃあ…、どうして…どうして、鬼舞辻無惨を倒そうとしているのですか??」
珠「私は…鬼になって、沢山の人を殺しました。理性を失い、夫と息子を喰い殺したことで自暴自棄となって…。だから私は、その罪を償うために今夜、無惨を倒す。鬼舞辻無惨を倒す…その目的のために私を最大限利用してください。貴方方の師であるあの柱の方はそのつもりだと思います。だから、あのとき私を助けたのでしょう。私も……どうせ死ぬなら役に立って死にたいと思っています。」