第21章 感覚強化訓練
目の前の楽しそうに笑う我が師範の鬼っぷりに青ざめながら懸命に動き回る炭治郎に同情の視線を送る音羽。
『さて、そろそろですかね。』
そう言ってどこから取り出したのか木刀を手にする杏。
ふふっ、と笑う杏に若干引きつつも、音羽は炭治郎たちのグループの方へと声を飛ばす。
音「炭治郎さん、あと僅かです!!」
炭治郎以外は聴こえるため、明らかに激しくなる攻撃。
その怒涛の攻撃に炭治郎ももうすぐで一刻だと気づく。
炭(うおおお!!あと少しだ!!)
炭治郎は心のなかで叫びながら更に集中する。
そのなか、音羽の一際大きな声が響いた。
音「…そこまで!!」
その声と共にピタリととまる隊士たち。
炭(!!動きがとまった。終わったのか…。)
炭治郎はふぅー、と大きく息を吐きながら耳栓と鼻栓を抜く。
その瞬間、炭治郎は自分を狙う匂いと気配を感じた。
炭「っ!?」
慌ててその方向を向くと、すでに喉に木刀が当てられていた。
炭「あ、杏さん…??」
『うん、嗅覚以外での反応もできてましたね。
合格です。次の柱のところへ行っていいですよ。』
困惑している炭治郎に杏は笑顔でそう告げると、音羽の元へと戻っていく。