第20章 事件
祈「杏さまはどのような稽古をされるのですか??」
祈里の問いかけに杏はあぁ、と呟く。
『そういえばまだ伝えてませんでしたね。』
いけないいけない、と言ってにっこりと笑顔を浮かべる。
『私がするのは“感覚強化訓練”ですよ。』
音「感覚強化…ですか??」
『はい。』
名前だけ聞いても何をするのかよくわからないようで首を傾げる2人に杏はふふっ、と笑う。
『無一郎くんから聞いていたでしょう??
私は感覚が優れてる…、これは昔からではないんですよ。鍛錬で身につけたものです。
それを皆さんにお教えするんですよ。』
杏の説明に何かを思い出したかのようにあ、と呟く祈里。
祈「目隠しと耳栓をしても普通に生活できる、ていうのですか??」
『それです。』
音「あれって稽古で身につけられるものなんですね。」
『えぇ。感覚は鍛えれば鍛えるほど研ぎ澄まされていきますから。』
納得している様子の祈里と音羽。
祈「では、杏さまが退院するまでに私たちは屋敷を整えておきますね。」
『本当は私が済ませるはずだったのに…ごめんなさいね。』
申し訳無さそうに眉を下げる杏。
音「お任せください。退院する日には迎えに来ますのでご連絡お願いします。」
『はい。ありがとうございます。』