第17章 刀鍛冶の里-強襲
杏の微笑みを見て、グッ、と拳に力を入れる。
鉄「わかりました!!先に行きます!!
時透殿のことはお任せください!!」
玉「逃さぬ!!」
今まで大人しく様子を見ていた玉壺が走り去ろうとする鉄穴森を追おうとする。
『そんなことさせるはずないでしょう??』
─ 桜の呼吸 肆ノ型 花明かり ─
辺りがパッ、と光り、玉壺も堪らず瞼を閉じる。
僅かな痛みに目を開いてそちらを見てみれば、触手が一本斬られていた。
玉「そんな小刀しかないのでは柱といえど、この程度の斬撃しか出せぬということか……。」
『さぁ…、どうでしょうか。』
玉壺はチラリ、と鉄穴森のいた方を見て、既に逃げられていることを確認する。
玉「何故あの刀鍛冶を逃したのだ??あんなつまらない命、いてもいなくても変わらないだろうに。」
『そんなことないですよ。刀鍛冶の皆さんがいなければ、私たちは鬼を滅することはできませんから。それがわかっているからこの里を襲ったのでしょう??』
いつも通り、笑顔を浮かべる杏。
しかし、笑顔を浮かべる瞳には憎悪の炎がチリチリと揺らいでいた。
杏(どうしよう…。感情が抑えられない。
鬼と対峙したのはあのとき以来。
憎悪が溢れて、とまらない…。)