第16章 刀鍛冶の里
サ「ソウネ〜。迷ワナイヨウニ気ヲツケナキャ。」
パタパタと隣でゆっくりと飛ぶサクラ。
『あら??誰かいるわね。』
サ「ドコ??」
『ほら、あそこよ。里の人かしら。』
声をかけるか迷っていると、前方にいる人がこちらに気づき、手を振ってくる。
『行ってみましょうか。』
鬼は出ないとはいえ、夜のひとり歩きは危険だ。
小走りで人影の元へ近づいていくと、見覚えのあるひょっとこ面をつけた男が立っていた。
『鉄穴森さんだったんですね。
お昼ぶりでしょうか。』
鉄「そうですね。音白殿は一体何を??」
『散歩してたんです。そろそろ滞在してる屋敷の方に戻ろうかと思っていたんです。』
鉄「そうだったんですか。」
なるほどなるほど、と頷く鉄穴森。
『ちなみに、方向はこちらであってますか??
暗くなってきたので少し不安で…。』
鉄「えぇ、合っていますよ。
よければお送りしましょう。」
『よろしいのですか??』
鉄「勿論ですとも。さぁ、参りましょう。」
『ありがとうございます。』
鉄穴森の申し出を受け入れ、後ろをついていく。
そのときまでは、本当に、なんの気配も感じなかった。