第13章 記憶
祈「では、準備してまいります。」
『お願いします。』
一礼して部屋を出ていく祈里を見送る。
それまでにこやかに微笑んでいたしのぶが真剣な顔で向かい合ってきたので杏も姿勢を正す。
『どうされましたか??』
し「……杏さんのお姉さんたちの仇は上弦ノ弐…なんですよね。」
『はい。』
しのぶからの遠慮がちな問いかけにしっかりと頷きながら答える。
し「仇をとるおつもりですか??」
『もちろんです。何が何でもあいつを葬り去る。
とはいえ、別に私の手ではなくてもいいのですが…。』
杏から漂う殺気にしのぶは目を見開く。
し「…そうですか。」
『どうしてそんなことを??』
し「いえ、何でもないんですよ。」
いつも通りには見えるが、その中になんとなく有無を言わさない圧が見え、杏は不思議に思いつつも素直に引き下がる。
『そうだ、不死川さん私が起きる前に帰っちゃったんですよ。それに私の分まで任務してくれてるらしくて…。』
し「祈里さんたちが言ってましたね。風柱さま任務手伝わせてくれないって。」
『そうなんですよ。いつまでも休むわけにはいかないことや私を1人にするわけには行かないってことは私もわかってますけど…。』