第13章 記憶
『ごめんくださーい。』
玄関口に立ち、大きな声で屋敷内に声をかける。
し「あら、杏さんに不死川さん。
怪我なんて珍しいですね。
こちらへどうぞ。」
かなり疲れた様子のしのぶが現れ、中へと通してくれる。
『しのぶさん、大丈夫ですか??
かなり疲れていらっしゃるようですが…』
し「えぇ。昨晩少し…。」
しのぶはふぅ、とため息をつきながら診察室へと続く廊下を歩く。
──カラカラ
しのぶが診察室へと通じる扉を開けると、そこには宇髄が座っていた。
『宇髄さん??任務終わったので……っ、その腕…。』
杏が声をかけると振り返る宇髄。
その左腕を見て、杏は言葉を失った。
宇「あぁ、ちょいとヘマしてなぁ。」
肘から下がなくなった左腕に視線を落とし、失笑する宇髄。
動揺する杏の後ろで不死川は無言で壁によりかかる。
宇「これじゃあ闘えねぇし、引退するよ。」
これまでも見てきたことだ。
柱であれば、より強い鬼と闘わなばならないため、このように闘えない身体にされてしまうことは珍しくない。
煉獄も鳩尾に穴があき、奇跡的に一命を取り留めたが引退した。