第11章 護衛役
──ダダダダダダッ
ア「そこまでっ!!」
蝶屋敷の訓練場にアオイの声が響く。
カ「はぁはぁ…、…ありがとうございました。」
『こちらこそ。付き合ってくれてありがとうね、カナヲちゃん、アオイちゃん。』
機能回復訓練を行う杏と相手役として参加しているカナヲとアオイ。
ア「流石に速いですね、杏さん。」
『そうかしら…。カナヲちゃんは日に日に速くなってますね。』
アオイに手渡された水の入った瓢箪を受け取る杏。
アオイに褒められ寂しげな表情を浮かべるも、カナヲに笑顔を向ける。
カ「………。」
『カナヲちゃん??どうしました??』
カナヲに視線を向けたときにカナヲが自身をじっ、と見つめていたことに気づく杏。
カ「………かった。」
『え??』
ア「カナヲ??」
小さく呟くカナヲの声が聞き取れず首を傾げる杏。
アオイも不思議そうな表情を浮かべる。
カ「…1回も、勝てなかった。」
『っ!!』
ア「カナヲ…。」
今度は聞こえたカナヲの言葉に目を見開く杏とアオイ。
『…カナヲちゃんがそんなこと言うだなんて珍しいですね。何かあったんですか??』