第10章 番外編 猫
早足で歩く不死川の隣にようやく並び、一息つく杏。
不「お前が遅いだけだよォ。」
『そんなに楽しみなんですか??』
不「うるせぇなァ。」
不死川の素っ気ない態度にムッとした杏が誂うように笑う。
突き放すようなことを言うが、杏が追いついたのを確認すると歩幅を合わせる不死川。
『ふふっ、じゃあ沢山作りましょうね。』
しかし、杏は不死川のそんな行動に気づかない。
楽しそうに歩く2人を物陰から覗く1つの小さな影。
し「あらあら、任務前に様子を見に来てみれば…。」
2人の様子に微笑むしのぶ。
し(あの様子ですと杏さんはもとに戻ったみたいですね。薬が効いたみたいで良かったです。それにしても…、杏さんは全く気づかないですよね…。
流石に不死川さんが可哀想に思えてきましたよ。)
杏の頭に猫耳、お尻のところに尻尾が生えていないことを確認してふぅ、と息を吐くしのぶ。
し「さて、私もそろそろ任務へ行かなくては。」
不死川を不憫に思いつつも、任務に赴くため杏と不死川に背を向けて歩きだした。
−番外編 猫 fin−