第3章 壊された幸せ
みんなが寝静まった夜。
カラカラという戸の開く音がして、杏は目が覚めた。
体を少しだけ起こし、周りを見るが誰もいない。
『ゆり姉さん、つばき姉さん、もみじ姉さん。』
自分の周りで眠っている姉たちを起こそうと揺り動かす。
ゆ「ん、どうしたの??杏ちゃん。」
つ「まだ夜中よ??」
も「んん…。」
3人は妹に起こされ、欠伸をしながら起き上がる。
『なにか物音がするの。
戸がカラカラって開く音がしたの。』
なんとなく小声で話す杏。
も「物音??」
首を傾げるもみじ。
つ「泥棒でも入ってきたのかしら…。」
この家にいるのは4姉妹だけ。
男手がないため、泥棒に入られたとしても不思議ではない。
ゆ「杏ちゃん、こちらにいらっしゃい。」
不安そうな目をしている杏を優しく呼ぶゆり。
自らの腕の中にやってきた杏を優しく抱きしめる。
ゆ「大丈夫よ。
つばきちゃん、杏ちゃんとここで待っていて。
もみじちゃん、少し様子を見に行きましょう。」
おっとりとしているが一家の大黒柱。
冷静に状況を判断し、それぞれに指示をする。
つ「気をつけてね、ゆり姉さん、もみじ」