第8章 無限列車
約1ヶ月前………
抜けるような青空が広がり、心地よい風が木々の枝を揺らして通り過ぎていく。
そんな穏やかな日和の中、産屋敷邸の前にたたずむ一人の男がいた。
鬼殺隊最高位の柱の一人、炎柱の二つ名を持つ煉獄杏寿郎だ。
煉獄は屋敷に向かって一礼をすると、刀を差し直す。
そして燃え盛る炎のような羽織をひるがえし、その場を後にしようとしたその時背後から声がかけられた。
し「出陣ですか??」
煉獄が振り返ると、微笑みを浮かべたしのぶの姿があった。
杏「胡蝶か。鬼の新しい情報が入ってな。向かわせた隊士がやられたらしい。一般大衆の犠牲も出始めている。放ってはおけまい!!」
煉獄の言葉にしのぶは僅かに表情を曇らせる。
し「十二鬼月でしょうか。」
杏「おそらくな。上弦かもしれん。」
し「難しい任務のようですが、煉獄さんが行かれるのであれば心配ありませんね。」
しのぶは少し含みのある笑みを浮かべながら言った。
そんな彼女に、煉獄は思い出したように言った。
杏「胡蝶。あの頭突きの少年を預かってどうするつもりだ??継子の枠を増やすとか言っていたが、そういうわけでもあるまい??」
し「別にとって食べたりはしませんから大丈夫ですよー。」
杏「それはそうだろう!!」
しのぶの言葉に煉獄は大声で笑いながらその場を後にする。
し「お気をつけて。」
そんな彼の背中にしのぶは小さく呟いた。