第45章 繋がる記憶
唯一吹き飛ばされずに済んだカナヲですら吐血し、目の前の無惨の圧に圧され、立てなくなってしまった。
カ(早く…立って…。足、動け、倒せ、コイツを…。みんなが安全に生きられるように、また悲しい思いをしなくていいように。コイツのせいで、みんな家族を殺された。)
そう思うのに、体は言うことを聞いてくれない。
目の前に座り込むカナヲを冷たい目で見下ろしていた無惨だったが、触手をある方向に伸ばす。
無「竈門禰󠄀豆子のように隠しておけば良かったものを…。私の狙いだとわかっていたというのに、柱だから戦力だからと最前線に送るとは愚かなことだな。」
そう話す無惨の触手が瓦礫の中に倒れ込んでいた杏を捕らえた。
カ「っ!!」
腰辺りに触手を巻きつけられ、ブラン、と宙に浮かぶ杏。
簪が外れており、垂れてしまっている黒髪の隙間からチラリ、と見える赤黒い血を見てカナヲは目を見開く。
カ(桜柱さま…!!頭から血が…酷い傷…………私を庇ったせいで……。)
下唇を噛み締めるカナヲの脳裏には先刻の光景が浮かんでいた。
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