第44章 反撃の狼煙
冨(伊黒…!!間に合わなかった…!!)
先刻助けて貰ったのに自分はまた…と冨岡は顔を歪める。
けれど次の瞬間、その表情は驚きへと一転した。
冨「!?」
上空でふわりと動く影。
その影を目で追いかけた冨岡いつの間にか上空へ浮いている伊黒の姿を見つけた。
冨「伊黒!!」
けれど、上空は身動きが取れない。
その事を理解してる無惨は止めを刺すべく伊黒へ攻撃を向ける。
──ヒュンッ
『伊黒さん!!』
危険が迫る伊黒を助けようと跳び上がった杏だったが、
──クンッ
伊黒の体は不可解な動きをし、無惨の向けた攻撃を躱した。
『え!?』
驚きながらも目の前にある無惨の腕を斬り落とそうと刀を振おうとすると、
──ザシュッ
無惨の右腕が何者かに斬り落とされた。
鬼(なんだ、この切断面は…)
無惨だけでなく、周りの柱たちも何が起こったのか理解しようとしているがなかなか難しい。
杏(先刻から何が起こっているの??)
直ぐに再生するものの、先ほどの伊黒の奇妙な攻撃の躱し方に初めて目の当たりにする新たな攻撃。
無惨は冷静に推理していた。
まずは悲鳴嶼。
鬼(この男の鉄球ではない。)
次に不死川。
鬼(この男の刀ではあのように斬れない。)
次に杏。
鬼(青い彼岸花の娘は近づいてはいたが、あの反応…恐らくこの娘にも理解できない何かだ。)
そして冨岡。
鬼(この男は助太刀に入っていた。)
最後に伊黒。
鬼(あの男も違う。刃を赫くしたところで刀身が伸びるわけではない。そもそも、避け方の軌道が奇妙だった…。)