第43章 きっといつか
鬼「無駄な足掻きをするな!!潔く死ね、亡者共!!」
──ヒュガガガガガガガガッ
けれど、一時的でも回復と治癒ができた彼らの動きは先刻とは違っていた。
先ほど以上の攻撃にも、対応し躱す。
そんな状況だからこそ、伊黒は懸命に思考を巡らせていた。
伊(俺が誰よりも戦果を上げてない。)
彼女の分まで背負い戦おうと誓ったのに。
けれど、小柄な伊黒にはそれほどの力を持ち合わせていない。
伊(もっと有効な攻撃を与える事ができれば…。)
命の危機に瀕した時、生き物は爆発的な力を発揮する。
伊(箸より重いものを持ったことがないような非力な手でも…簪1本で座敷牢の分厚い格子を破る事が出来ると…俺は知ってる。そして時透。お前はあの間際白刀を赫くし、刀の色に関わらず刃は赫くする事が出来るのだと証明した。鴉の報告から推測するなら…あの瞬間、時透が出来たことは強く刀を握り締めるのみ。)
鴉から報告を受けた後、伊黒はずっと考えていた。
自分と同じ程の体格しかない彼がどのようにして刀を赫くし、戦いを勝利に導けたのかを…。
彼にやれた事であれば、自身にも出来るのではないか、少しは貢献出来るのではないかと。
そして、彼が出した答え。