第42章 集結する力
伊「もういい、十分やった。」
甘「駄目よ、全然役に立ってない…。このままじゃ死ねない。」
想いと裏腹に、ハァ、ハァと肩で息をする甘露寺。
こんな彼女を伊黒が戦闘に出すわけがない。
伊「後は頼む。」
「はい」
それだけ隊員に言うと、直ぐ様無惨のところへ戻る伊黒。
甘露寺はその背中へ、涙と共に精一杯叫んだ。
甘「待って!!私も行く!!伊黒さん!!」
──ザッ
動けない程の重症の体を懸命に動かし後を追おうとする甘露寺。
それでも、言うことを聞いてくれない体。
もう彼の背中は見えない。
それでも、彼を想い、甘露寺は叫んだ。
甘「伊黒さん嫌だ!!死なないで!!もう、誰にも死んで欲しくないよぉ!!」
死を覚悟している彼。
死んで欲しくないと願う自分。
大切だから、死んで欲しくない。
だから少しでも、彼が死なずに済むなら…。
彼の隣で共に戦いたい。
少しでも、役に立ちたい。
涙と共に溢れ出す想い。
そんな甘露寺の想いを背中に受ける伊黒もまた、自身の生い立ちや想いに苛まれていた。
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