第40章 兄弟
無「僕は幸せだったよ。家族4人で暮らしていた時も…。1人ぼっちになってから、辛いことや苦しいことがたくさんあったけど…仲間が出来て、僕は楽しかった。また笑顔になれた。
幸せだと思う瞬間が、数えきれない程あったよ。
それでも駄目なの??僕は何からも逃げなかったし目を逸らさなかったんだ。仲間のために命をかけたこと後悔なんてしない。」
ポロポロと止められない涙を拭いながら、無一郎は思いの丈を懸命に伝える。
無「無駄死になんて言わないで。他の誰かになら何て言われてもいい…。でも、兄さんだけはそんな風に言わないでよ…。」
無一郎の言葉に静かに聞いていた有一郎もまた涙を零しながら口を開いた。
有「ごめん…。分かってるよ…だけど俺は無一郎に死なないでほしいんだ…。幸せになってほしかったんだ…。無一郎だけは…。」
無「僕は…幸せだよ。これからもきっと幸せだ。だって互いに命をかけて守りたいと思えるような、そんな大好きな仲間たちにたくさん出会えたんだ。家族のことも思い出した。姉さんみたいな人もできた。大丈夫だよ、兄さん。僕は幸せに生きていくから。」
そう言いながら、互いに強く抱き締め合った。
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