第39章 上弦ノ月陰る時
「!!」
頸を斬られて尚、この攻撃を回避した事に悲鳴嶼も不死川も目を見開いた。
黒「ハァーーッ」
次に悲鳴嶼たちが黒死牟の姿を捉えた時。
彼の容姿は見るに耐えない姿へと変わっていた。
角が生え、牙が剥き出しとなり、身体中から出ていた刃もまた、爪のような姿へと変わっていた。
もはや人の姿と呼べるものではなく、お伽噺で描かれるような容姿。
紛れもない鬼そのもの。
そして、斬り落としたはずの頭も再生されていた。
不「頭を再生しやがったあの野郎!!糞が!!畜生がアア!!」
悲「攻撃し続けろ!!頸を斬り落とされた直後で体が脆いはずだ!!無惨程の速さで再生はしていない!!頸を狙え!!何度でも!!」
無惨と直に対峙した悲鳴嶼だからこその冷静な判断。
焦っていた不死川もその言葉に直ぐ様切り替え、刀を黒死牟へと向ける。
さらに焦っていた杏も刀を握りしめると、身体を起こして刀を振るうために構える。
そんな悲鳴嶼たちに対し黒死牟は頸の克服により慢心していた。
黒(克服した。これでどんな攻撃も無意味。太陽の光以外は。これで私は、誰にも負けることは──…)
その瞬間──…