第39章 上弦ノ月陰る時
そんな様子を間近で見ていた時透は目を見張った。
時(鉄同士がぶつかり合って、赤く──…!!)
不死川「ぐあああああ!!」
渾身の力を込めながら、不死川が叫ぶ。
──私達を越えて更なる高みへと
──登りつめてゆくんだ
──ドゴンッ
その瞬間──…黒死牟の頸が体から離れた。
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黒(縁壱。お前が笑う時いつも俺は気味が悪くて仕方がなかった。それぞれの呼吸の後継がいないと話していた時もお前は、突如奇妙な楽観視をし始めて笑った。特別なのは私達の世代だけなのだと慢心していた私は、気味の悪さと苛立ちで吐き気がした。
何が面白いと言うのだ。
深傷を負っても刀から手を離さず、人間が血鬼術を使い、斬られても斬られても失血死せず、鬼に匹敵する成長速度で肉体の限界を超える動きをし続け…
日の呼吸の使い手ではない者達が、刃を赤く染める。
そんな未来を想像して何が面白い。
己が負けることなど、考えただけで腸が煮えくり返る。
俺はもう、二度と敗北しない。
そうだ。
例え頸を斬られようとも。)
その瞬間。
──ギュルッ
その異変に直ぐさま気付いたのは悲鳴嶼だった。
悲(出血を止めた!!)
そして、直ぐに声をあげた。