第39章 上弦ノ月陰る時
そんな黒死牟を時透は鋭い眼で見上げていた。
黒(まさか、この眼…視えているのか。私と同じ世界が。あの男もそうだ。感知している。戦いの最中視え始めたのだ。そして更にあの男は私の眼を謀った。)
短時間での急成長。
手負いの子供の足掻き。
黒(己の血の巡りを操作し、攻撃を撹乱させた。予期せぬ事がいくつも起きた。しかし、誰の刃も私の頸には届かず。謀りも撹乱も、分かってしまえば意味もなし。)
己を落ち着けながら、黒死牟は七支刀を振り上げた。
ー 月の呼吸 拾陸ノ型
その姿を見た時透は目をギュッと瞑りながら必死に喰らいつこうとしていた。
時(放すな!!放すな!!バラバラにされても…!!)
そして、時透により一瞬でも動きの止まった黒死牟を少し離れた場所から狙う者がいた。
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時「玄弥。撃っていいから。構わなくていいから。俺が上弦の壱の動きを止められたら…俺もろとも撃っていいからね。絶対に躊躇うなよ。」
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銃を構える玄弥の脳裏に、先ほど時透と話した言葉が心音と共によみがえる。
──ドクンドクン
玄(分かってる、分かってるよ…。)