第39章 上弦ノ月陰る時
なんとか身体をくっつけた玄弥はそんな激闘を柱の影から見ていた。
玄(やれるか??俺に。役に立てるのか??俺は…またすぐに気づかれて胴を斬られて終いじゃねぇのか??)
自分の大好きで尊敬する兄ですら深傷を負わされ、ギリギリの戦いを続けている。
──ドクンドクン
玄(兄貴…兄貴…!!死なせたくない…絶対に失敗出来ない…。)
もちろん、死なせたくないのは兄だけじゃない。
玄(悲鳴嶼さん、時透さん、音白さん…。)
もちろん、ここにいる全員を死なせたくない。
けれど、今一歩が踏み出せない。
玄(ああああっ!!くそっ!!くそっ!!俺がもっと強かったら!!柱だったら!!)
助けたい気持ちと失敗したら、役に立てなかったらと思う気持ちが交差する。
もどかしい気持ちが溢れて止まらない。
玄(助けたいと思えば思うほど体が強張って うまく動けなくなる。怖い。役に立てないことが。仲間を守れないことが。なんで俺はこんなに弱いんだ!!悔しい!!悔しい!!弱いことが悔しい!!)
そんな思いが駆け巡っていた玄弥の脳裏にとある言葉がよみがえる。