第36章 兄の願い
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甘露寺と伊黒が上弦ノ肆に四苦八苦してる頃…
雑魚鬼を斬りながらひたすら走り続けていた悲鳴嶼と時透。
悲「鬼舞辻の居場所が近い。油断するな!!」
時「はい!!」
悲鳴嶼の声かけに時透が答えたそのとき──…
──ミシッ
微かな屋敷の軋む音を悲鳴嶼の耳が捉えた。
すぐさま時透へ注意を促そうと悲鳴嶼が後ろを向く。
悲「時…!!」
──ドンッ
突然屋敷の壁が横から飛び出し、そのまま時透の体を押すように連れ攫う。
悲「時透!!」
音でその状況を察した悲鳴嶼は慌てて叫ぶ。
時「僕に構わず進んでください!!」
そう叫んだ時透は迫り来る反対側の壁を素早く斬り、潰されるのを回避する。
──タンッ
そのまま地面へと着地する。
すると、辺りに低めの声が静かに響く。
「来たか、鬼狩り…。」
時「!!」
慌てて声のする方へ視線を向ける無一郎。
黒「ん…??お前は…何やら…懐かしい…気配だ…。」
時(上弦ノ…壱!!)
暫くじっと時透を観察していた上弦ノ壱──黒死牟はぼそりと口を開いた。