第36章 兄の願い

それぞれが勝ち星をあげているなか、甘露寺と伊黒も新たな鬼と遭遇していた。


甘「あーーーーっ！！見つけた！！伊黒さんあっち！！」


──ﾍﾞﾝｯ


甘露寺が見つけたのは静かに座り、琵琶を奏でる一つ目の鬼。


甘「上弦の肆だわ！！」


鬼の目に刻まれた"肆"の文字を見て伊黒は顔を歪めた。


伊（上弦の肆…！！時透達が倒したはず。もう補充されているのか。）


そんな事を考えてる伊黒に対し、甘露寺は気合に満ちていた。


甘（私より年下のしのぶちゃんが命をかけて頑張ったのよ。私も、頑張らなくちゃ！！）


そんな思いと共に甘露寺は壁を蹴り、その勢いで少し離れた鬼へと一気に間合いを詰める。


そして、急接近した甘露寺が刀を振るったその瞬間──…


──ﾍﾞﾝｯ


琵琶の音と共に突然甘露寺の目の前に現れる扉。


甘「はぇっ！？」


鬼に飛びかかっていた甘露寺はそのまま扉へと顔面衝突してしまった。


──ｺﾞﾝｯ


鳴「…。」


ﾋｭｰｰｰと、そのまま落下していく甘露寺。


敵の血鬼術など情報が少ないにも関わらず、1人で突っ込んでしまった甘露寺は後から沸き起こる羞恥心に顔を真っ赤に染め上げた。