第34章 母の愛
『ありがとうございます!!残りの造血剤はしのぶさんが持っててください!!あとはお願いしま…!!』
─ ピシャッ
杏が叫び切る前に襖が閉まった。
伊「あんこ!!」
カ「桜柱さま!!」
消えてしまった杏にカナヲと伊之助は焦ったかのように叫ぶ。
童「あー!!杏ちゃんがぁ…。酷いなぁ、鳴女ちゃん。」
童磨は瞳を潤ませながら杏が消えた地面を見つめる。
カ(どうしよう…桜柱さまなしでこいつを殺せるの…??しのぶ姉さんも怪我してるのに…。)
伊(デカい戦力が削られちまった…!!)
カナヲと伊之助も童磨と同じ場所を見つめながら冷や汗を流す。
しのぶがそんな2人の肩をポンッ、と後ろから優しく叩く。
し「さぁ、行きますよ。カナヲ、伊之助くん。杏さんの分まで、私たちの愛する人たちの仇をとりましょう。」
そのいつも通りの優しいしのぶの笑顔にカナヲと伊之助も安堵し、気合いを入れなおす。
カ「っ、はい!!」
伊「おう!!」
そんな3人を見て童磨は可哀想なものを見るような表情で笑う。
童「えー。でもさ、君たちだけで俺を倒すのは無理じゃないかなぁ。」
そんな侮辱でしかない童磨の言動にわかりやすく怒気を表すカナヲと伊之助をしのぶはやんわりと制しながら口を開く。
し「必ず地獄に送って差し上げますからご心配なく。」
しのぶは日輪刀を顔の前に掲げながらふふっ、と妖しく微笑んだ。