第33章 蝶の舞
杏はカナヲが無事な様子に安心していたが、その頭上を見て慌てて叫ぶ。
『カナヲちゃん!!上!!避けて!!』
カ「っ!?」
ー 血鬼術 冬ざれ氷柱 ー
──ドドドド
カ「うっ…!!」
何とか避けるカナヲ。
しかし、その距離は童磨からじわじわと離れていっていた。
杏(明らかにカナヲちゃんを狙ってる…。カナヲちゃんの煽りが効きすぎたのね。)
杏が童磨を睨みながらそう考えていると童磨はニコニコとカナヲに話しかける。
童「おーい。どんどん離れていってるよ。近づかなきゃ頸斬れないでしょう。」
そう言った瞬間、フッ、と消える童磨。
し(…!?)
カ(消えっ…??)
杏(どこにいって…)
杏としのぶとカナヲ、各々驚いてあたりを見渡す。
──タン
そのとき、カナヲの少し後方に童磨が現れる。
そして、カナヲは手元に違和感を感じて視線を下に向ける。
カ「っ!?」
カナヲの手元から日輪刀がなくなっていた。
その事実に気がついたカナヲの顔から血の気が引き、ドッ、と汗が噴き出した。
童「ほらぁ。しっかり持ってないから盗られちゃった。」