第1章 稀血の子
そんな私の悲鳴と重なるようにして、なぜか鬼の方も叫び声を上げ始めた。
「うっ、あ、あ、あ、あっ」
メキメキと鬼の体表に血管が浮き始め、ムクムクと全身が膨張し始める。
そうまるで……進化するかのように。
私は目の前で何が起こっているのか全く理解できないまま、より一層強く握られた右足の激痛に悲鳴を上げ続けていた。
その時だった。
「風の呼吸 肆ノ型 上昇砂塵嵐」
とてつもない突風が吹き、次の瞬間、私の体は空高く舞い上げられていた。
ブワッと強烈な風に吹かれて体が宙を飛ぶ。
頂点まで舞い上がったところで私の体はピタリと止まり、それからまるで世界がスローモーションになったかのようにゆっくりと落下し始めた。
頬を切る風。
内蔵が下から突き上げられるような奇妙な浮遊感。
だけどそんな感覚に怖気を走らせる間もなく、私の体は下から飛んできた炎のような光に抱きとめられていたのだった。