第4章 わっしょい
咲に、鬼殺の事後処理任務の指示が下った。
担当剣士には炎柱の煉獄杏寿郎が召集されたが、柱が出張った割にはそれほど強くない雑魚鬼であったので鬼は瞬殺され、あっという間に任務は終了してしまったのだった。
人里離れた場所での任務であったため一般人への被害は無く、隊士達にも怪我人は出なかった。
そういう訳で、事後処理任務もほとんどやる事が無く、夜明け前には解散する運びとなったのだった。
「咲」
他の隠との情報共有を終えた咲に声をかけてきたのは、相変わらずハツラツとしている杏寿郎だった。
「あっ、杏寿郎さん、任務お疲れ様でした!」
「うむ!咲もご苦労だったな!君達隠がいてくれるから、剣士は思い切り戦うことができている!感謝する!」
よく通る大きな声で言われ、咲だけでなく周辺にいた隠達の耳にもその言葉はハッキリと届き、皆嬉しそうに目元をほころばせた。
柱は鬼殺隊最高位の剣士であるため、全体的に隠達からは恐れられているのだが、杏寿郎の場合は恐れられつつも尊敬の念を向けられていた。
それは今の言葉からも分かるように、杏寿郎が誰に対しても感謝の気持ちを真っ直ぐに伝え、敬意を持って向き合ってくれるからだった。