第20章 番外編 其の壱【R18含む】
とぷとぷと、まるで泉から水が湧き出るようにして、杏寿郎の先端からも水が溢れ出てくる。
それがたまらなく嬉しくて、もっと杏寿郎に悦んで欲しくて、咲はますます夢中になって手と舌を動かした。
だが次の瞬間、はしっと杏寿郎に肩を掴まれた。
「む…!咲、これ以上はいかん!我慢できなくなる!」
常にはあまり見ないような必死な杏寿郎の顔。
それが、ゾクリとするほど可愛いと思った。
「我慢など、なさらずに」
そう言って咲は握り締めたそれにちゅっと口づけを落とす。
「あっ…ぅ!その状態で…話さないでくれ…っ」
ますます息を荒くして、口元を手で覆うように隠す杏寿郎。
そんな杏寿郎の姿に愛おしさと、多分これが欲情という感情なんだろうと理解しながら、咲は緩急をつけて舐める勢いを早めた。
「はっ…あっ…!咲…っ!!」
ビクンと口の中が振動して、温かいものでいっぱいに満たされた。
布団に仰向けに倒れた杏寿郎は、片腕で目元を隠すようにしてハアハアと胸を上下させている。
そんな杏寿郎の姿が可愛くて仕方ない咲は、しばし目を細めてその光景を見つめていた。
ちょっとだけ脱力していた杏寿郎であったが、すぐに起き上がると、
「すまない、口の中に出してしまった。これを使いなさい」
と、落し紙を咲に渡そうとした。
だがそれと同時に咲は、ごくんと口の中のものを飲み下してしまったのだった。
「よもや!!何をしているんだ咲!!汚いからペッしなさい!!そんなものを飲み込んではいけない!!」
ただでさえ大きい瞳を更に大きく見開いて、杏寿郎はわたわたと咲の肩を掴む。
だがそんな杏寿郎の慌てぶりなどどこ吹く風で、咲はこの上なく幸せそうに微笑んでいた。
「汚くなどありません。…それに、私は嬉しいのです。杏寿郎さんの一部が私の一部になってくれたようで」
そう言ってニコッと笑った咲に、杏寿郎の胸はキューンと苦しくなる。
「まったく…君という人は…」
そう言いながら杏寿郎は、持っていた落し紙で咲の口元を軽く拭ってやると、のしかかるようにして布団に押し倒した。