第20章 　番外編　其の壱【R18含む】

そのまま杏寿郎は徐々に口づけする位置を下げていき、細い首筋につうっと舌を這わせた。

「んんっ」

咲が先ほどとはまた違った声を上げる。

いつの間にか杏寿郎の両手が、着物の上から咲の乳房をすくい上げるようにして揉んでいたからだ。

咲の胸の大きさはごく標準的なものだったが、白く滑らかでとても綺麗な形をしていた。

そして何より、その膨らみの中心はまるで桜のつぼみのような可愛らしい色をしていて、杏寿郎はその胸の美しさに、初めて見た時は感激すら覚えたほどであった。

そしてそれは今も変わらない。

杏寿郎の大きな手が、その柔らかな膨らみを着物の上から優しく揉みしだいていく。

時々、その指が胸の突起部分に触れると、咲の体には痺れるような刺激が走るのだった。

「あっ」

着物の上から、杏寿郎の唇が優しくその突起を食む。

もう片方の手は絶え間なくもう一方の胸を揉んでいる。

「んっ、あ…っ」

はむはむと胸の上で唇を動かしている杏寿郎の顔を、咲は溺れてしまいそうな快感の中見つめた。

（可愛い……）

いつもはキリッと凛々しくて、力強くて男らしさの塊のような夫が、自身の胸を一生懸命食んでいる姿はまるで赤子のようにも見えて、気持ち良さと同時に愛おしさも感じさせて咲の胸をいっぱいにする。

思わず手を伸ばして杏寿郎の金色の頭を抱くように撫でると、それに気づいた杏寿郎が恍惚として緩やかに細められていた瞳をへにゃりと垂れされて笑った。

わっ、と心臓を打ち抜かれたかと咲が思っている内に、するりと着物が肩から落とされた。

あらわになった白い胸に、杏寿郎はまるで真珠でも見つめるかのような視線を向けた後、ちゅうっ、とその中心を吸い上げた。

「あっ…ん！」

熱い口に含まれて、巧みに動く分厚い舌に転がされながら、咲は喉の奥から次々と湧いてくる声を止めることが出来なかった。

まだ触られてもいないのに、ズクズクと下腹部が疼くのを感じる。

咲は身をよじりながらも、杏寿郎の愛撫の一つ一つを逃すまいとして全神経を集中させたのだった。