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【鬼滅の刃/煉獄】冬来たりなば春遠からじ

第20章  番外編 其の壱【R18含む】







そんな風にして忙しくしている杏寿郎にも、体を休めるための非番の日というものはある。

そして今日は、久々の非番の日であった。

新婚の二人を気遣ってか、朝食の席で槇寿郎が話の内容に見合わないような神妙な顔をして二人に告げた。

「今日は千寿郎を連れて出かけてくる。お前達も日頃の疲れが溜まっているだろうから、今日は一日ゆっくり過ごすと良い」

槇寿郎の横では千寿郎が笑顔で頷いており、予め二人で申し合わせていたのだろうことが分かった。

「父上が歌舞伎を観に連れて行ってくださるそうです!あと、本屋にも!」

普段は年の割には落ち着いた表情をしている千寿郎が、幼い笑顔を顔いっぱいに浮かべて言う。

そんな弟の微笑ましい姿を見て、杏寿郎と咲もニコニコと笑った。

「良かったな千寿郎!兄も羨ましいぞ!!」

「千寿郎くん、お父様、どうぞ楽しんできてくださいね」

「ありがとうございます!」

杏寿郎が千寿郎の頭を撫でてやっているのを見ながら、ふと思い出したように槇寿郎が言う。

「あぁ、そうだ咲。今日の夕飯はうな重を買ってくるから、夕食は用意しなくてよい。今日はゆっくり休みなさい」

「は、はいっ!ありがとうございます、お父様」

「うむ」

相変わらずの仏頂面ではあったが、それが「嬉しい仏頂面」であることを先刻承知している面々は、槇寿郎をむくれさせない程度にニコニコと笑ったのだった。


「では、行ってくるぞ」

「行ってまいります!」

「はい!二人共どうぞお気をつけて!」

「行ってらっしゃいませ」

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