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【鬼滅の刃/煉獄】冬来たりなば春遠からじ

第18章  共に



「お、じいちゃん…お父さ…ん…お母さん…、やっ、た、よ…みんなの仇…、取った…よ……!」

ゆらゆらと、目に見えない何かを掴むように咲の手が揺れる。

意識が混濁し始めたのだろうか。

「あぁ…、こ…れで、やっと…みん…な…の、ところに……行け…る……かな…」

ふうーっ、と咲は息を吐き、まるで蝋燭の火が吹き消されるようにその瞳から光が消えてしまいそうになった。

ゆっくりと下りていく白い手。

それを杏寿郎がガシッと握りしめた。

「行くな咲!!俺を置いて行くな!!」

まるで部屋中のものを震わせるような大声だった。

食い入るように咲を見つめている杏寿郎の両目から、盛り上がるようにして大粒の涙が溢れ出す。

それはボタボタと落ちて、咲の頬を濡らした。

「あ…っ…!…きょう、じゅ…ろ、さん……っ」

その雫の熱さに、閉じかけていた咲の目がハッとしたように見開かれる。

焦点の定まっていなかった瞳が、ピタリと杏寿郎の顔を見つめた。

その視線をしっかりと見つめ返しながら、杏寿郎は言った。

唇が、震えていた。

「俺は、これからも君と共に生きていきたい!!君を愛しているんだっ!!だから…っ、どうか、俺を置いて行かないでくれっ……!!」

まるで慟哭のような叫びだった。

それを聞いた咲の青白い顔に、みるみる内に赤みが差してきて、くしゃりとその顔が歪んだ。

「は、い…!はい…っ!私、生き…ます…!あなたと…いっ、しょに…生きていきたい…!」

そう言ってボロボロと涙を流し始めた咲と、祈るように咲の手を握り締める杏寿郎の姿に、ベッドを取り囲むようにして立っていた不死川や炭治郎たちも、皆体を震わせて涙を流したのだった。

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