第16章 つりあい
「あっ、ねぇ、ちょっと散歩にでも行かない?せっかくこんなに月が綺麗なんだからさ」
思いついたように善逸が言う。
「冒険か!?」
ここ数日、怪我の療養のために屋敷内に篭もりきりだったため窮屈な思いをしていた伊之助がすぐさま反応する。
「ねっ!禰豆子ちゃん!」
「むー!」
「そうだな。リハビリも兼ねて少し歩くか」
炭治郎も同意して、くるりと咲を振り返る。
「咲も行くだろう?」
「あ…私は…」
先日の一件以来、咲は夜間の外出は禁止されている。
いくら屋敷の周りを軽く散歩するだけとは言え、夜には出歩かない方が良いだろう。
そのことを炭治郎達に説明すると、炭治郎がにこっ、と笑った。
「じゃあ、俺と咲は留守番してるから、善逸達だけで散歩に行ってくるといい。善逸、伊之助、禰豆子を頼むぞ」
「そっかぁ。ちょっと残念だけど、まぁ仕方ないよね。咲ちゃん、今度は昼間にどこか出かけようね」
「おい咲!お前はここでおとなしくしてんだぞ!」