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【鬼滅の刃/煉獄】冬来たりなば春遠からじ

第11章  倒したのお前やで



屋敷に来て欲しいと、ある日咲のもとに音柱・宇髄天元から手紙が届いた。

手紙を運んできたのは、大きな水晶をはめ込んだ額あてを付けた、見るからに派手派手な格好をした鴉で、聞くところによると彼は鎹鴉の中ではファッションリーダーのような存在になっているらしい。

手紙には、簡潔ながらも宇髄らしい華やかな文章が並んでおり、まるで一節の詩を読んでいるかのような気持ちにさせた。

屋敷に呼ぶ理由は、「書類のことで訊ねたいから」とのことだった。

咲は経費請求等の事務処理なども担当しているため、こうして隊士から書類の書き方を訊ねられることもしばしばあるのだ。


そういう訳で咲は今、深い山の中を歩いていた。

元忍である宇髄は、過去の仕事で買った恨みも多く、未だにそれらの者達から命を狙われることもある。

それゆえに、自宅は人目につかないようなところにあり、住所も限られた者にしか明かしていなかった。

咲は宇髄の担当隠であることから、その所在地を教えてもらっている数少ない隊士の一人である。


宇髄邸に向かって森の中を歩いていると、道の少し先によく見慣れた黄色い頭が揺れているのを見つけた。

「善逸さん!」

小走りに駆け寄っていって咲が声をかけると、そのタンポポのような頭がぐりんと振り返り、瞬時にりんごのように頬を染めて大きな声を上げた。

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