第2章 逢魔が時
「天ぷら!!天ぷら!!」
妙な節をつけて大声で繰り返す伊之助を先頭に、炭治郎達は列になって続いた。
そろそろ日が暮れそうで、向こうの稜線にオレンジ色の丸い夕日が今にも沈みそうになっている。
しばらくの間は、「天ぷら隊」とでも名付けられそうな賑やかさで進んでいた一行だったが、ほぼ同時にピタリと三人の足が止まった。
「……この匂い……鬼がいる?それに藤の花の匂いもする」
「この音……間違いないよ。鬼がいる」
「しかも一匹じゃねぇぜ。多分何匹もいる」
常人ならば気づきもしない距離にいるにも関わらず、三人はハッキリと鬼の存在を感じ取っていた。
そんな芸当ができたのは、彼らにはそれぞれに特殊な能力が生まれつき備わっているからだった。