第4章 薔薇を塗ろう トレイ・クローバー
「でさ、こいつ、大釜!とかいってゴキ○リを大釜で潰しやがったんだぜ?」
エースが呆れたように頭の後ろで手を組む。
「うるさい!ああするしかなかったんだ!」
デュースはエースを睨みながら顔を真っ赤にしている。
するとエースはデュースの目の前に現れて、意地悪な笑みを浮かべた。
「お前のユニーク魔法は『フォール ザ 大釜』だな!」
私はその言葉を聞いて思わず吹き出した。
エースはみるみるうちにどんどん赤くなっていき、拳をぷるぷると震わす。
「エース……言わせておけば!!!待てやゴラァ!!!」
「ひーっ!!」
デュースは拳を握りしめたまま、走って逃げるエースを追いかける。
私はぽつんと取り残されて、走っていく2人の影を見つめていた。