第4章 海の王妃
「いやいやいや!ないない!それ、勘違いだから!」
「そうですよ。誰が好き好んでこんなクズたちと!」
「僕はみんな大好きだよ!」
「あり得ない…」
「僕はみんな大好きだよ!」
「トールは黙ってて、ややこしくなるから」
「俺にとっては親愛なるブラザーだぞ」
「ふふふふふ。やっぱり仲良しね」
コロコロと笑う○○にゼウスたちは、何かこそばゆいものを感じた。ポセイドンが彼女を抱き締める。
「ハニーの楽しそうな笑顔、初めて見たぞ。ずっと思い詰めたような顔してたからな。少し心配だったんだ」
するとゼウスも嬉しそうに笑う。
「よし!ここは○○ちゃんのために、定期的に集まろう!」
「……え。俺冥界から来てんだけど…」
「俺は海だぞ」
「僕も海からになるのかなぁ。生まれたの海だし」
「私は湖ですね」
○○はポンと手を叩いた。
「ねえ、は交代制にしたらどうかしら?」
「「交代制?」」
「そう。今回はゼウスさんとこに集まったから、次はハデスさんとこって感じで交代制にするの」
「なるほど、それならお互いに行き来することになりますから、不公平はなくなりますね」
「ナイスアイデア!」
「ちょちょちょ!待った待った!俺一応、全能の神ゼウスだからね?!」
「全能なら、冥界も面倒見てよ」
「えー?!めんどくさ…」
「はい、決定」
それからもゼウスは抗議したがその度に他も面倒を見ろと言われ、しぶしぶ交代制の案に乗った。
とにかく疑問は解消されたので、それぞれの場所へ帰ることになった。
「あ。待って、ポセ」
「ん?」
○○はポセイドンの背中に手を添えた。すると指輪が光って背中の傷を治した。
「これでよし!」
「サンキュー、ハニー」
「ずっとこれが気になってたの。よかったわ、消えて」
「俺は誇らしかったけどな」
「え?」
「だってこれは、○○を守れた証だからな」
イチャイチャし出した二人の間をゼウスが割って入る。
「はい、そこまでー。人んちでイチャイチャしなーいの」
「あ、ああ。すまない。じゃあ帰るか」
「うん」
二人はそれぞれのイルカに乗ってねぐらへ帰った。
「○○はその指輪に、何を望むんだ?」
「ポセが治めるこの海が、ずっと平和でありますように」