第6章 忠告
そこでカカシは勿体ぶるようにひと呼吸置き、ちらっと視線を寄越す。サスケは少し考え、頭に浮かんだ推測を口にした。
「…保護者がいると?」
「そうだ。お前も察しの通り、彼女を保護し木ノ葉に入り込むよう手引きした奴がいる。その人物が相当強力な忍、あるいは権力者だとしたら…木ノ葉に別の目的があってやって来たと考えてもおかしくないだろ」
彼の推論を全て聞き終えても、サスケはまだ納得いかずに呟いた。
「……考え過ぎだ」
どちらにしろ今の話は推測の域を出ない。証拠は何も無いのだから。
「そうかな?確かにあの子の腕は下忍相応のようだが…」
まだ続けようとするカカシに、サスケは話を打ち切るようにスッと足を踏み出した。彼の脇を黙ったまま通り過ぎて行く。何故かシズクのことを疑われるのが腹立たしかった。
「…ま、忠告はしとくぞ、サスケ」
釘を刺すような捨て台詞をサスケの背中に浴びせ、カカシは姿を消した。
…忠告だと?俺が何をしたっていうんだ。別にあいつと物凄く仲がいいって訳でもないんだぞ…
むすっとしながらもサスケは歩みを進め、修業場である森に到着する。いつもならシズクが修業を始めていてもおかしくない時間だ。
「…いないのか…」
人の気配のない静かな森で立ち止まり、呟いて肩を落とす自分に少なからず驚く。
別に気落ちする必要ないぞ、なんで俺が……カカシの奴があんな事言うから余計に気になるだけだ…
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