第20章 新しい家族を作りましょう
『お父さん、お母さん、お兄ちゃん。征ちゃんの後で何言っても気が退けるんだけど…でもやっぱり自分の言葉で言います。
あたしは今までやりたいことをやりたいようにやらせてもらってきました。全部1人で決めて、大人になったように』
1人で出来て偉いねって、頭を撫でられるのが大好きだった。
『もちろんあんなに愛情をもらった家族が大好きだったし、友人に羨ましがられた時だって鼻が高かった。あたしの大好きな家族なんだよ!って、自慢したくなった』
それはずっと変わらない。だけと変化もあった。
『あたしは喧嘩が嫌い。だけど羨ましくもあった。本当に大事な人同士がする喧嘩には愛情があった。あたしは大事な人と喧嘩して、自分の意見をストレートに伝えて、仲直りまでしてみたかった。
だけどあたしはそれができなかった』
優等生というレッテルを貼られ、誰からも否定される事は無くなった。
『必ずしも否定されたいわけではなかった。ただ肯定されるだけじゃなくて、お互いの意見を言い合いたかった。
あたし達の家族にはそれがなかった』
愛情がありすぎて、理想の家族になりすぎたのだ。
『そんな中で出会ったのが征ちゃんだった。彼は自分の意見を真っ直ぐに伝えてくれた。あたしの中で何かが変わった気がしたの。征ちゃん相手になら、自分の意見が言える。そして彼自身の本当の意見も聞ける。
それが純粋に嬉しかった』