第20章 新しい家族を作りましょう
今日来てくれた人達全員に挨拶を済ませたあたしたちは、2人手を繋いで主役席へと向かう。
そして司会を任せた優希の進行で催し物やバカ騒ぎで、楽しい時間はあっという間に過ぎていく。そして残るは、あたしたちからの挨拶のみ。
「今日は僕達の結婚式にわざわざ足を運んでもらった事、感謝いたします。僕はここにいる朱音と結ばれた事を、非常に嬉しく思います。けれど、僕にはこれが運命にも思えます」
『征ちゃん!///』
会場からは野次がとぶ。イチャイチャすんなー!とか、ノロケは後にしろー!とか。
「だけど僕はこれが僕1人の成果ではないと思っている。ここにいる全ての人達のおかげだ。本当にありがとう」
『征ちゃん…あたしも彼と同じ気持ちです。あたし達2人だったらきっと、今みたく幸せじゃなかったと思います。皆があたしたちを支えてくれたから、皆があたしたちを愛してくれたから」
自惚れだと言われるかもしれない。そんなことないと否定されるかもしれない。だけどあたしは心から言えることがある。
『あたしたちと出会ってくれて、あたしたちと一緒に歩いてくれて、ありがとう』
皆がいてくれたからこそ、今のあたしたちがある。それは征ちゃんも分かっている事で、決して忘れるつもりもない。
「僕、赤司征十郎は若槻朱音を妻とし」
『私、若槻朱音は赤司朱音として征十郎さんの隣で』
「『新しい道を歩いていきます』」
打ち合わせをしていないにも関わらず、あたし達の息はぴったりだった。互いにクスリと笑うと、それぞれの両親の元へ歩いて行った。