第18章 そしてWCは伝説となる
根武谷「さすがに一筋縄じゃいかねぇな、緑間真太郎…どうする、もう1人つけるか?」
「いや、必要ない。これ以上人数をさくのは逆効果でしかない。五将と言えど今の真太郎をとめるのは難しいだろう。後半は1人でいい。真太郎とは僕がやろう」
インターバルに入ったため控室に戻ろうとしたところ、誠凛とすれ違った。大会の都合上インターバル中は次の試合のアップ時間となっている。
「…やぁ。開会式以来だね、テツヤ」
「…はい、赤司君」
テツヤの目はいつにもなくやる気で満ちていた。いつの間にこんな表情が出来るようになったのか。中学の頃にはあまり見る事の出来なかった表情だった。少し興味をひかれた僕だったが、ある人物から見下ろされている事に気付いた。
「よう、まさか忘れてねーだろーな?開会式(あん時)は随分物騒なマネしてくれたな。黄瀬も…そしてお前も必ずぶっ倒す!」
「もちろん覚えているよ、火神大我。実力も評価している。…だが1つ忠告しておこう」
根武谷「赤司?」
「僕と目線を変えずに話す事を許しているのは僕に従う者だけだ。逆らう奴は何人たりとも見下ろすことを許さない。頭が高いぞ」
僕は眼を使って火神の体制を崩し、腰をつかせた。僕を見下ろした事もあるが、それよりも許しがたい事がもう1つ。
「それに、あの時お前が覗き見していたのは知っているよ。何より僕はそれが腹立たしくてならない。僕達の時間を邪魔した罪は重い」
「っ!」
試合が始まる前に朱音と2人で会って抱きしめている時に感じた存在は、確かに火神のものだった。あまりゆっくりと2人で会う事が出来ない僕達の時間に入ってきた事は許せなかった。
「火神君!」
「…テツヤも僕とやるつもりなら覚悟しておく事だ。お前の力を見出したのは僕だ。いずれそれを思い知る事になる」