第18章 そしてWCは伝説となる
蘭「ごめんなさい、朱音ちゃん。この子本当に朱音ちゃんが大好きで…あ、申し遅れたわね。3年で主将をやらせてもらってる、島吹蘭(しまぶき らん)よ。ポジションはこの身長の通りC。よろしくね」
『誠凛バスケ部主将の若槻朱音です。ポジションは…』
蘭「PGでしょ?もちろん知ってるわ。さっきも言ったけどこの梓、朱音ちゃん大好きなのよ。つまりファンのようなモノね。もちろん私もよ。けど私の場合、朱音ちゃん個人って言うより誠凛女バスそのものが好きなの。今回戦える事になって嬉しいわ。私にとって最後の試合だからね」
蘭さんは花帆のように一気に話した。後ろで凜子が息を必死に吸っているところを見ると、最初のあたしのように息をするタイミングを見失ってしまったのだろう。すると今まで黙っていた綾が口を開いた。
綾「なるほどね。道理で朱音はもちろん、全体が誠凛に似ているわけね」
ビデをを見た時にうっすらと認識した程度だったけど、実際に戦った綾が言うなら間違いないのだろう。
梓「あれ?あなたいたんですか?てっきり誠凛の方達だけかと思ってました」
綾「なっ!?」
梓「あ、もちろん黒子君の事も分かってましたよ?なんたって黒子君と神守さんは朱音ちゃんと一緒な小学校だもんね!」
優希「どうしてそれをあなたが知ってるの?」
梓「もちろん知ってますよー!朱音ちゃんの事は全て。あ、確かあなたも朱音ちゃんと一緒のコートに立っていたんでしたっけ?片岡綾さん」
綾「…何が言いたいの?」
梓「私、あなただけは許せないんですよねー。いくら昔の親友だったからと言って朱音ちゃんを傷付けた、あなただけは」
市谷さんの言葉に綾は何も言えなかった。そして、だから少しだけ本気を出したけどそれでもあなたは勝てなかった。そんなんで朱音ちゃんのライバルを名乗るな、とも言った。綾は悔しそうに下を向く。