第18章 そしてWCは伝説となる
灰崎「なんだ、可愛い声も出せるじゃねぇか。さすが赤司の女ってわけか。調教でもされたか?ま、俺には関係ねぇけど」
『征ちゃんは関係ない!』
灰崎「関係あるさ。俺は昔から奴に一泡吹かせようと思ってたんだからよォ。あの時だって俺はリョータに勝っていたにも関わらず、将来俺がリョータに負けるとか言いやがったんだ。そしてその結果がコレだ」
『あなたの実力は分からないけど、涼君は強いし征ちゃんが間違った事を言うなんてあり得ない』
灰崎「あーウザってぇ…少し黙らせてやるよ」
灰崎はニヤリと笑い、あたしに向かって手を伸ばした。怖い、気持ち悪い、悔しい…あたしは何て弱い人間なんだ。1人じゃ何も出来ないのか。
悔しいよ…助けて、征ちゃん…
少しでも恐怖を取り除きたくて目をギュッと瞑った。
「何をしている」
灰崎の手があたしに触れるギリギリで止まったのが分かる。この声。聞き間違えるわけがない、大好きな声。
『せ…いちゃ…ん…』
「遅くなってすまなかった、朱音。そして灰崎、何をしている。聞こえなかったのか」
灰崎「赤司…う、うるせぇ!俺はもうお前の言う事を聞く必要はねぇんだよ!それ以上近付いてみろ!こいつがどうなってもいいのか!?」
「朱音にそれ以上その汚い手で触れてみろ。朱音を傷付ける奴は誰であろうと殺す。最後の忠告だ、灰崎。朱音を離せ」
征ちゃんはもの凄く怒っていた。それはもう、あたしでも鳥肌が立つくらいに。灰崎は少し考えた後、あたしの腕を離し舌打ちをしながら出て行った。その場に立っていられなかったあたしは、膝から崩れ落ちそうになるのを征ちゃんによって支えられた。
「朱音…朱音、本当にすまなかった。こんな目に合わせてしまったのは僕の責任だ。本当にすまない」
『何で征ちゃんが謝るの。悪いのは灰崎でしょ。それに征ちゃんは助けてくれたんだよ?ありがとう、征ちゃん』
「朱音…我慢なんてしないでくれ」
征ちゃんのその言葉に抑えてた何かが切れた。そしてあたしは壊れたダムのように泣いた。