第18章 そしてWCは伝説となる
「紫原君はさっき木吉先輩が抜けたら、どうあがいても誠凛は負けだと言いました。まだ終わってませんよ。それに…いなくても意志は受け取っています。僕が代わりに君を倒す!」
「俺を倒す?そんな事もし本気で言ってるんだったら…ひねりつぶすよ、黒ちんでも」
征ちゃんが言っていた。普段こそは普通だけど、バスケに至ってはこれ以上ないくらいぶつかっていた、と。バスケにさほど興味がないにも関わらず、それでも才能に恵まれ勝ち続けたああ君。好きでも才能に恵まれず、絶望すら味わってやっと活路を見つけたテツ君。そんな2人が同じ価値観を持つ事自体が無理なのかもしれない。
「ま、あいつらが自分の信念貫きてーなら、戦って勝つしかねーんだろうな。それが今なんだよ」
「どんなに頑張っても届かない、誰より好きでも報われない。それは珍しい事でも何でもない。それでも好きだから頑張って練習して、そうして勝った時はこれ以上ないくらい嬉しい。人の努力を否定してしまう君には、絶対負けたくない!」
「だからそーゆー綺麗事がウザいっつってんだよ、黒ちんさぁ!」
ボールが動きテツ君に渡る。バニシングで11番を抜いた次にあっ君が立ちふさがった。そしてファントムシュート。あっ君は最初より詰めてくるのが速い。けどこれじゃあテツ君のファントムは崩せない。そしてこれはシュートではないく、大我君へのアリウープだ。けどこれだけでは勝てない。あっ君のOFを止めなければまたすぐに差は広がる。誠凛の作戦は意外なモノだった。
茉実「黒子君が紫原君のポストアップ!?さすがにこれは…無理なんじゃない?」
茉実の言葉通りみるみるポジションを取られていく中、あっ君にパスが通る。そしてターンをした所にテツ君がいた。
宗助「なっ!黒子がファウルもらいながら止めた!?」
優希「それに今、何で紫原君はフリーでもないのにターンしたの!?」
『2人じゃパワーが違いすぎる。あっ君はいつの間にか非力すぎるテツ君がいないと思い込んでしまったの。それで動きを読んであっ君がターンする方へ一瞬先回りした』
「つまり非力と影の薄さを逆に利用してきた。けどもうこの戦法は使えねー。さっきは意表をついたおかげで成功したが、次からはもう不用意にターンなんざしねーだろ」