第18章 そしてWCは伝説となる
「来やがったか。紫原の気性はああ見えて好戦的だからな」
「本来OFの方が得意なくらいだもんね。今回みたくムッ君の逆鱗に触れた試合では、1試合100点取ってたし」
花帆「100点!?」
誠凛はあっ君にトリプルチームをつけた。とにかくあっ君を止めるのが最優先だろうけど、今のあっ君にそれでは足りない。あっ君は3人を気にも止めないように突破した。しかもあの高さ、パスコースを防ぐディナィも意味がない。あっ君は跳びながら体を反転させダンクを決めた。回転を加えた事により更にパワーが増している。3人は倒れ込み次第に周りから野次が飛びだし始める。
「…ったく、これだから素人は」
『そうだね、分かってないのに』
「え?」
「エネルギーってのは高さ×速さだろ。デカいけどノロい奴、速いけどチビな奴。そんな選手はゴマンといるが、紫原ほどデカくて速い奴は見た事ねぇ。紫原の持つエネルギー量は、文字通り桁が違う」
藍「リスタート早い!倒された直後とは思えない精神力だわ…」
捺美「でも追いつかれた!」
『あっ君は1歩の瞬発力だけじゃなくて長距離のダッシュも速いからね』
そして陽泉はてっちゃんへのトリプルチームをとき、てっちゃん対あっ君だ。ブロックに跳んだ後に後出しの権利によるパスを出すが、あっ君の長い手足と超人的な反射神経により防がれた。そのままアリウープであっ君が決めた時、あり得ないほどのエネルギーに耐え切れずゴールは折れ倒れたのだ。
「そもそもバスケなんて欠陥競技じゃん。ゴールは3mの宙にある、その時点で公平(フェア)なんて言葉はないんだよ。結局デカい奴が勝つようにできてる。それがこのクソスポーツの根本だろ。こんなもんの何が楽しいの?小物がどんなにスキルを磨こうが圧倒的破壊力に勝てるモンなんてない。どんな理想も俺にとっちゃあただのゴミだ」
あたしはギリッと唇を噛みしめた。確かにあっ君の性格、バスケ人生を考えるとこう考えてしまうのも分かる。けど一生懸命頑張っている人に言うべき言葉ではない。すると誰かの大きな手が頭の上に置かれた。その手の主を見ると大ちゃんだった。