第1章 常夜の心
萩尾さんは俺の仮説話を信じられない…と言わんばかりの表情で聞いていた。
「あくまで仮説なので信じろとはいいませんよ。正直、俺としても信じられない話なんで。信じる方がどうかしてる」
けど事実、お互いがお互いの世界の常識を知らない。話が噛み合わないと言う点では8割はこの仮説が正しいとカカシは思った。なによりこの部屋から見える煌々としたネオンの光の多さも人が沢山入った鉄箱が何台も連なって轟轟(ごうごう)と走るカラクリは、最早カカシの理解の範疇をとうに超えている。
「木ノ葉の里…俺の世界はこれほどの文明発達していませんから。…さっきから黙ってますけど萩尾さん大丈夫ですか?」
もしかしてまだ具合悪いですか?と心配そうに美月の顔を覗き込む。
「え、あ、ごめんなさい…!カ…はたけくんの話が信じられない訳ではなくて、なんというかビックリしちゃって。それよりはたけく…」
「カカシ」
ズイッと顔を寄せて言った。
「え」
「だから、カカシでいい。はたけくんなんて呼ばれ慣れてないから変な感じ。みんなそう呼ぶから」
不機嫌そうに眉を寄せてそう呼べと顔に書いてある。
「いやいやはたけくん、ちょっと近くないですか?それよりもこれから…」
「カカシ。」
「あのはたk」
「カカシ!」
「カ、カカシ…くん!近い!」
「チッ…ま、今はそれで勘弁してあげます」
舌打ちしたよね今!?
「ちなみに俺も美月さんって呼ぶんで。いいよね?美月さん?」
「…う、うん」
はt…カカシくんの圧力、すごい…
満足したのか、すこし上機嫌な様子で元の位置に戻って話を再開させる。
「こ、これからカカシくんはどうするの?」
美月が聞くと、カカシは暫く無言で顎に手を当てながら考えを巡らせたあと口を開いた。
「とにかく原因は俺が追いかけてた"満月の書"で間違いない。ただ中に書かれてた術の詳細が分からないから、一定時間たったら戻れるかもしれないし俺が生きている間は戻れないかもしれない…」
「生きてる間って…一生戻れないってこと…?」
そんな…と顔を歪めて呟いた。
「あくまでどっちも可能性だけどね。」
カカシは淡々としている。
「"満月の書"というのは…?」
「…それは守秘義務であまり言えないけど…ま、所謂禁書扱いの忍術の巻物の事だよ」