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満月の夜に【暗部カカシ夢】

第1章 常夜の心


現代で平凡に穏やかに暮らしていた私にとって、この狐のお面を付けていた男の子が突きつけてきた鋭くて冷たい何か…多分、刃物なんだろうけど。怖くて怖くて堪らなかった。

でもそれ以上に、彼に「殺さないで」と言った瞬間に滲み出た表情があまりにも悲しげで呼吸が出来ていないくらい苦しそうだった。

「…任務中とはいえ、不用意に無抵抗の一般人の女性を拘束し行き過ぎた尋問をしたこと、お詫び致します。…本当に申し訳ありませんでした。」

そういって深々と頭を下げてからスッと私を見据えた。私の首の傷を治療したと言っていたので驚きつつも手を伸ばすと、丁寧に包帯を巻いてあるのが分かって彼の謝罪と後悔の気持ちが伝わってきた。さっきの彼の表情や震える彼の右手を見たら彼を責め立て非難する気持ちにはなれなかった。

「あ、あの…!ち、治療…っぁ、ありがと、う」

気付けば私はそれよりも先に介抱し怪我の治療をしてくれたお礼を口走っていた。殺されかけた事への恐怖心は忘れられないかもしれないけれど…

「…なんで…ッ」

そうだよね、私もこんな言葉が出るなんて変だと思う。まだ震えは止まらないし、怖かったのは変わらない。でも、何故か分からないけれど今こうしたいと思ったの。

「ぁ、あなたのほうが…悲しくて、辛くて…っ苦しくて堪らないって顔をしてたから…」

その震える手を握ってあげたかった。


―――――――――――――――


包み込むように握られた手から伝わった温もりが何故だか心地よい気分になった。彼女の方も震えが収まっていてしばらくそのまま動かなかったが、急に「あっ」と声をあげ俺の手を離す。

「ごっ!ごめんね、急に手を握ったりして!こんなおばさんに握られても嬉しくないし、むしろ気持ち悪かったよねっ!?本当にごめんなさいっ」

と言った。謝罪しているのは俺の方なのに今度は彼女がペコペコと頭を下げ始めた。この人、さっき俺に殺されかけてたよね。強心臓すぎない?ちょっとよく分かんないんだけど。

「…イエ、大丈夫デス。」

美月の予想外過ぎる行動の数々にカカシは混乱した。…この人絶対一般人だ。しかも普通の一般人よりかなりズレてる気がする。いくら警戒してたからって、もうちょっと冷静に観察すれば分かるだろ俺…。と凹んだ。
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