第11章 R18 籠の鳥【分隊長×調査兵】
「ハンジさんは、いつも卑怯です」
ぱちん、と頬をはたかれた気がした。
は私に回していた腕をほどき、華奢な背中をずるずると壁になぞらせ、座り込む。
キスの名残が、桃色の口に艶めかしく光っていた。
私は膝を折り目線をあわせて、彼女の頬を包んだ。
「何のこと?」
ばかな振りをする。
大切な貴女のために、自分のために、何も知らない顔で問いかける。
「あなたは、私がどんな気持ちでここにいるかわかってない…っ」
「うん、人の心は誰にも分からないよね」
まるで的外れな言葉にはハッと目を見開き、それから長い睫毛をゆっくり伏せた。
うすく透明な膜が張った、宝石のような瞳。
私は琥珀を想起する。
硬くて冷たくて、忘れられまいと輝く古代の生を閉じ込めたそれを。
すごく綺麗だ。
私は添えた両手での顔を引き寄せ、もう一度唇を重ねた。