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Mirror【R18】

第6章 平穏さにこそ潜む


「さっきは済まなかった」

「え、瑞稀さん、なあに? 突然」

瑞稀が台所で洗い物をしている澤子に声を掛けた。

「首突っ込んで勝手やり過ぎたかなって」

「ああ、ふふ。 確かに」

「でも……びっくりしたけど、結局また助けて貰っちゃったし、ありがとう」

「いや、礼を言われるようなことは」

「ううん、あの後……カフェで瑞稀さんに言われて、きちんとお断りしようって思ったの。 よく分からないけどあの時嬉しかった、私」


───最初も思ったけど、綺麗な髪だな。
そこから時々チラリと形の良い唇や白い首筋が覗く。
高すぎない軽やかな声。

ずっと見ていたいような気がする。


「逸巳もね、あの子人当たりは凄くいいけど、ここに人を連れてくるなんて事はなかったのよ。 余程瑞稀さんが好きなのね」

「あんたは迷惑じゃない?」

「え? 私も好きよ」

澤子はふんわりと微笑みながら言った。

家の奥の方から逸巳が瑞稀を呼ぶ声がする。

「瑞稀さーん! ギター弾くよ」

「後からお茶持っていくね」

……つまり、色々無自覚なんだこの女は。

瑞稀は少しだけ、ほんの少しだけだが三木に同情した。






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