第5章 遅れ咲きの茎に輝けるただ一輪
二人と別れた後の帰り道、瑞稀は複雑な気分でいた。
──余計な事を言い過ぎた。
所詮他人事なのに、俺らしくない。
でも、付き合ってる奴が居たんだな。
まあそうだろうな、普通に美人だし。
よく分からないがあの時不快感のようなものを感じて、それで大人気なくあんな事を言ったのだろうか。
彼女は泣きそうな顔をしていた。
そういえば、……瑞稀は二人に多少の違和感も覚えていた。
あの二人は確かに似ている。
見た目だけでなく礼儀正しく他人に気を遣う所とか。
だが妙に仲の良い兄弟だ。
瑞稀には兄弟が居なかったが、普通あれ位の歳の兄弟というものはもっと疎遠なイメージがあった。
それでも、また会えると思わなかった。
帰り際に追ってきた彼女の様子を思い出す。
「澤子か」